COLUMN
コラム2024年度の建設工事受注総額は18.7兆円で、前年度比8.9%増となり、4年連続のプラス成長達成しました。特に民間部門ではサービス業や製造業からの受注が増加しています 。
団塊世代の大量引退による「2025年問題」が顕在化し、特に小規模企業での人手不足倒産が増加しています 。
2024年12月から、特定建設業者や公共工事受注者に対して、ICTやDXの活用による効率的な現場管理が努力義務化されました。これにより、デジタル技術の導入が加速しています。
ゼネコン(総合建設業者)は、建築・土木工事の企画、設計、施工、管理を一括して請け負う企業であり、プロジェクト全体のマネジメントを担います。下請け業者(サブコン)との連携を通じて、品質・安全・工程・コストの管理を行い、社会インフラや都市開発の中心的な役割を果たしています。
ゼネコンの役割の中心にあるのが、プロジェクト全体の管理です。計画段階から設計、施工、そして完成までの各プロセスを統括し、品質と安全を守りながらプロジェクトがスムーズに進行するよう調整します。この一貫した管理能力がゼネコンの核となるもので、ゼネコンの存在がなければ大規模なプロジェクトの成功は難しいといえるでしょう。
建設プロジェクトの予算を効率的に管理することもゼネコンの重要な役割です。プロジェクトごとに適切な予算を策定し、各段階で発生するコストを正確に把握し、必要に応じて調整を行います。予算内でのプロジェクト完了を目指すこのコスト管理のスキルは、経済的で持続可能な建設プロセスを維持するために重要です。
大規模な建設プロジェクトにおいて、工期の管理は極めて重要です。ゼネコンは、各工程のスケジュールを設定し、適切に管理することで、遅延を防ぎ、計画通りにプロジェクトを完了させます。突発的な事象が発生した場合でも、迅速な調整が可能で、プロジェクトの工期内完了を目指します。
建設プロジェクトには多くのリスクが伴います。ゼネコンはこれらのリスクを事前に評価し、リスク発生前に予防策を講じることで、安全性を高めつつ計画通りの進行を確保します。このリスク管理により、プロジェクトの成功率を大きく向上させます。
・ 選別受注の傾向:人手不足や建設費の高騰を背景に、ゼネコン各社は採算が確実に取れるプロジェクトを選ぶ「選別受注」を進めています 。
・ M&Aの活発化:人材不足や資材価格の高騰などの課題への対応として、大手企業による中小企業の買収や異業種の参入など、M&Aが活発化しています 。
・ 法改正への対応:2025年には建築物省エネ法の改正が予定されており、省エネ基準の適合義務化などが求められるようになります。これにより、ゼネコン業界では施工方法や資材の見直しが必要となります 。
人手不足の中で、特に若年層の育成が追いついておらず、技術継承が課題となっています 。
建設業界では高齢化が進行しており、40歳以上の割合が7割を超えると予測されています。また、若年層の離職率も高く、労働力の確保が難しくなっています 。
資材価格や人件費の高騰により、建設コストが上昇しています。これにより、事業採算の確保が難しくなり、建設事業の延期や中止が発生しています 。
2025年3月期(2024年度)決算にもとづき、日本国内の主要ゼネコン(総合建設会社)上位25社を連結売上高順に以下にリストします。
順位 | 企業名 | 売上高 | 営業利益 |
---|---|---|---|
1 | 鹿島建設 | 2兆9118億円 | 1518億円 |
2 | 大林組 | 2兆6201億円 | 1434億円 |
3 | 大成建設 | 2兆1542億円 | 1201億円 |
4 | 清水建設 | 1兆9443億円 | 710億円 |
5 | 竹中工務店 | 1兆6001億円 | 531億円 |
6 | 長谷工コーポレーション | 1兆1773億円 | 847億円 |
7 | インフロニア・ホールディングス | 8475億円 | 485億円 |
8 | 五洋建設 | 7274億円 | 216億円 |
9 | 戸田建設 | 5866億円 | 266億円 |
10 | フジタ | 5728億円 | 230億円 |
11 | 熊谷組 | 4985億円 | 142億円 |
12 | 三井住友建設 | 4629億円 | 75億円 |
13 | 安藤ハザマ | 4251億円 | 352億円 |
14 | 西松建設 | 3668億円 | 210億円 |
15 | 高松コンストラクショングループ | 3466億円 | 114億円 |
16 | 東亜建設工業 | 3304億円 | 206億円 |
17 | 奥村組 | 2982億円 | 97億円 |
18 | 東急建設 | 2931億円 | 88億円 |
19 | 鉄建建設 | 1851億円 | 34億円 |
20 | 東洋建設 | 1726億円 | 116億円 |
21 | 浅沼組 | 1670億円 | 68億円 |
22 | 東鉄工業 | 1600億円 | 155億円 |
23 | 大豊建設 | 1433億円 | 55億円 |
24 | 飛島ホールディングス | 1382億円 | 64億円 |
25 | PS・コンストラクション(ピーエス三菱) | 1356億円 | 12億円 |
2025年度の建設投資は約65兆円規模となり、その後も安定的な成長が見込まれています。特に公共投資は国土強靭化計画の継続により年間約25兆円規模で推移する見通しです 。
土木分野では、インフラ更新需要の本格化により、2025年以降、年間約28兆円規模の市場が形成されると予測されています 。
建設業界では技術者不足が続いており、施工管理技士の需要は今後も高まると予想されています 。
国土交通省より、2024年度以降で土木施工管理技士の受験資格の緩和が発表されており、これまでよりも受験しやすくなるのが特徴です 。
施工管理技士の平均年収は経験3年目で450万円〜600万円と、業界の人手不足を反映した好条件求人が増加しています 。
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