COLUMN
コラム建築の現場は、さまざまな専門工事業者が協力し合いながら、ひとつの建物を完成させていきます。
その全体を取りまとめ、工事を円滑に進めるのが建築施工管理技士の役割です。
施工の進捗、安全、品質、コストなど、すべてを管理するポジションであることから、建築施工管理技士は建設業界でも特に評価の高い職種とされています。
経験を重ね、スキルを磨いていくことで、確実に年収アップを目指せる仕事でもあります。
ここで大切なのは、「どこの会社で働いてきたか」ではなく、「どんな現場で、どのような実績を積んできたか」という点です。
建設業界は実力主義の一面があり、結果を出すことでよりよい条件での仕事につながります。
そんな中、最近注目されているのが「人材派遣」という働き方です。
正社員にこだわらず、自分のスキルや希望に合った現場で働く選択肢として、多くの施工管理技士が派遣というスタイルを選んでいます。
この記事では、建築施工管理技士が派遣で働くことのメリットとデメリット、そして派遣で働く際に意識したいポイントについてわかりやすくまとめました。
建設業界は、慢性的な人手不足と技術者の高齢化という問題を抱えています。
これは今後も続くと予想されており、若手の技術者を育て、世代交代を進めていくことが業界全体の課題となっています。
しかし現実には、目の前の工事を無事に終わらせるために、企業の多くが「即戦力」を求めて、派遣を活用しています。
その流れの中で、施工管理技士としての新しい働き方の選択肢として「派遣」が注目されるようになってきたのです。
ここでは、派遣で働く施工管理技士にとっての具体的なメリットとデメリットを整理してみましょう。
最大のメリットは、働く現場や条件をある程度自分で選べるという点です。
希望する勤務地、通勤時間、勤務時間、仕事内容など、ライフスタイルに合わせた現場選びがしやすくなります。
また、建設業界にありがちなサービス残業の文化が少なく、派遣社員は基本的に契約内容通りの働き方ができます。
これにより、プライベートとのバランスも取りやすくなるでしょう。
さらに、正社員とは違い、実績によって次の契約条件が変わるのも特徴です。
努力次第で収入を上げることができる仕組みになっているため、モチベーションを保ちやすいという点も見逃せません。
施工管理の派遣は、他の派遣職種と比べて収入水準が高い傾向があります。
現場経験を積みながらしっかりと稼げるので、将来的に正社員に戻ることを目指している人にも最適です。
また、ひとつの会社にいると経験できないような、さまざまな技術や工程管理に触れることができるのも派遣の大きな魅力です。
それが将来の武器となり、キャリアの幅を広げてくれるでしょう。
特に、建設業界では未経験者を育てようという企業も増えてきており、研修制度やOJTが整っている現場もあります。
そのため、「未経験から施工管理を始めたい」という人にも、派遣という形は入り口としてぴったりです。
ある程度の経験を積んだ後、条件の良い大手企業を狙って転職する人も実際に増えており、戦略的なキャリア形成にも向いています。
一方で、派遣にはいくつかの注意点もあります。
まず、雇用期間があらかじめ定められており、基本的に同じ職場で3年を超えて働くことはできません。
(これは派遣法で定められたルールです)
そのため、長く安定した職場で働きたいと考えている人には向かないかもしれません。
また、派遣社員は現場を補佐するポジションとして採用されることが多く、重要な業務――たとえば、施工計画の立案や原価管理などは正社員が担当するケースがほとんどです。
「もっと深く関わりたい」「責任ある仕事を任されたい」と思う場合、派遣では物足りなさを感じることもあるかもしれません。
それでも、仕事の幅を広げたり、実績を積んだりするには、派遣でも十分な環境です。
経験を重ねてから正社員への道を選ぶという柔軟なキャリア設計が可能です。
派遣という新しいスタイルで働くには、これまでの働き方とは少し違った意識が必要です。
重要なのは、「自分を成長させる」「企業ではなく業界に就職する」という2つの考え方です。
この意識を持つことで、派遣でもブレずにキャリアを築くことができます。
現場や企業が今何を求めているのかを常に考え、期待以上の働きを意識すること。
それが自分を成長させる第一歩です。
施工管理技士は、対応できる業種が広く、汎用性の高い資格です。
そのぶん、さまざまな業種や現場に合わせる「柔軟性」が求められます。
慣れないうちは、先輩や上司の仕事の仕方を観察し、ロールモデルとなる人物を見つけるのが近道です。
その人のスケジュール管理、職人とのコミュニケーション、報告の仕方などを参考にして、自分のスタイルを築いていきましょう。
今は「大手企業に入れば将来も安心」という時代ではありません。
自分のスキルと経験に価値をつけ、キャリアを積み上げる働き方こそが、これからの安定を作ります。
会社の寿命は平均25年〜30年と言われています。
けれども、私たちはその2倍近い時間を働く必要があります。
建築施工管理技士の資格を取った人は、建築や建設の仕事に関わり続けたいという思いを持っているはずです。
だからこそ、就職するのは「企業」ではなく「業界」だという意識が大切になります。
業界で必要とされる人になることが、長く働き続けるための一番のポイントです。
企業が変わっても、仕事の内容が変わっても、自分の技術と経験があればどこでも通用します。
それは、派遣でも同じです。
むしろいろいろな企業で働くからこそ、業界全体の動きや常識が見えるようになります。
自立した技術者として、前向きにキャリアを積んでいける人こそ、これからの建築業界で活躍していけるでしょう。
この記事では、建築施工管理技士の新しい働き方として注目されている「派遣」について、メリット・デメリット、そして働く際の考え方を紹介しました。
たとえ有名企業に所属していたとしても、現場で結果を出せなければ評価されることはありません。
現場は常に結果が求められる、シビアな仕事の場です。
だからこそ、自分がどうすれば「期待以上」の仕事ができるかを常に意識して働くことが大切です。
派遣という働き方は、柔軟に働きながら、確実にスキルと経験を積み上げていく手段として、今後ますます広がっていくでしょう。
自分の将来に不安を感じている方や、新しい一歩を踏み出したいと思っている方は、この機会に「派遣×施工管理技士」という選択肢を考えてみてはいかがでしょうか。
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